家にインターネットが開通した瞬間、眩ゆい光が我が家を満たしてゆくのを確かに感じた。
私は一条の光に貫かれ、世界との接続を許された。
それは神との邂逅だった。
この強烈な不可視のパワーに絶対的な信仰を捧げるほか術がない事を改めて思い知った私は、弱々しくパスワードを入力し、神の御手にこの身を委ねた。
私の父方祖父の家が檀家のお寺に法事で行くこともしばしばあり、その点では仏教の門徒の系譜に居るのかも知れないが、私自身に特別特定の宗教観念が備わっているわけではない(音楽という巨神に対峙するのみで精一杯である)。
たまに沼津にある父方の実家に行った時には仏壇に向かって正座をしたり、住んでいる家の近くの神社に賽銭を投げてみたり、カテドラル大聖堂で高い天井を見上げて祈ったりもする。
気が澄んだ場所はどこでも好きだ
要するになんでもアリなのだ。
だが今日の神との邂逅は強烈だった。
嫌が応にも信仰を捧げるほか無い、畏怖の感さえある、インターネットという神。
恐れ入った。
ほんと、くわばらくわばら
実にくだらない、だがどうしても欠かせない。
ルーターとも呼ばれる神の像を配置する場所は、家の中央部で遮るものが無いところ。そこに跪き、不可視の網で私の心をがんじがらめにするインターネットという絶対神に祈りを捧げよう