おはようございます。
ドラマーの大井一彌です。
いまツアー仕事が並走してたり、バンドのライブやレコーディングがあったりで、2022年もラストスパートって感じです。
美しく澄んだものをお届けしたいです。
そんな感じでドラム演奏しまくり週間なので、
今日はドラマーに向けて秘伝の技を一つ授けます。
昔々に流行って、ロストテクノロジーになってしまったスナッピー機構、「全面当たり」をご存知でしょうか?
おわかりになりますでしょうか。
ボトムヘッドの外側にまでスナッピーが伸びていて、ヘッドにはスナッピーのみが触れている状態を作っています。
で、スナッピーの張力は両端のストレイナーが独立して保っているので、強く張ったスナッピーを、ヘッドに優しく当てることができる。
これが、まじで段違いで音が良いのですが、今生産されているドラムで全面当たり機構のものはほとんど無いと思います。なんで無いんだろうね。
作ってくれよTAMA、、
で、今一般的なのが、全面当たりの逆の、内面当たりという仕組みで、ヘッドの内側に収まるサイズのスナッピーの端のプレートを、紐で引っ張るかたちです。
スナッピーの張力を強くすると、ヘッドに押し当てるプレートの圧力も強くなっちゃうんです。
これが、全面当たりに比べると、スナッピーと太鼓の素直な余韻に悪影響してくるわけです。
ドラムとは不要な鳴りを如何に抑えるかがキモなので、最終的にはヘッドにテープを貼ったり、スナッピーが張ってあるそばのボルトを少し緩めて振動を殺したりしてミュートを作ることが多いです。
だからミュートの一助になっている内面当たりが悪いわけじゃないです。
「結局ミュートするんだから、僅かばかし鳴りが抑えられても良いじゃん」
的なノリを感じます。
まあ正しいんだけど、一方、
全面当たりは、ヘッドの張力とスナッピーの張力を別個に管理出来ることで、
めっちゃくちゃ鳴ります。余韻無限。
だから当時の全面当たりスネアには、
打面ヘッドに内側から押し当てるフェルトのミュートノブがついてたりするんですかね。
言うなれば、
「最大限鳴る状態のものを作って、そこからミュートの塩梅を加減する」
ってことなんです。
僕はこっちの方が好きですね。
60年代にせっかくこんなすごいシステムが導入されたのに、今は見る影もない。70年代のモサモサドサドサのロックサウンド流行の功罪かなとか僕は思っちゃいますけど。
だから本当は全てのスネア全面当たりにしたいんだけど、改造もなかなかしんどい作業だし、内面当たりも悪いってわけじゃない。
そこで!
おそらく僕しかやってないティップスというかハックというか、すごいのがあります、ズバリこちら。
「13インチのスネアには14インチ用のスナッピーを、14インチのスネアには15インチ用のスナッピーを装着する全面当たり風内面当たりスナッピーサウンド」
です。
スネアサイズよりもひと回り大きいスナッピーを装着して、ボトムヘッドの端からスナッピーのプレートがはみ出るようにすることで、ヘッド全体にスナッピーが当たるようになります。
かつ、独立機動のストレイナーではないため、いわゆる内面当たりの適度なミュート感というのもあり、
新旧のあいのこ的な機構です。
やり方は簡単。
スナッピーのエンドプレートの穴ではなく、スナッピーとエンドプレートの接合部分に紐を通してストレイナーに張るだけです。
僕はPURESOUND製のものを好きで使ってます。
スナッピー紐に関しては、ワイヤーが織り込まれてるような、強度の高いものをお勧めします。エンドプレートとスナッピーの溶接部分にバリが残ってたりするとヘッドとか紐を傷付けるので、鋭いとこがあればヤスリでならしたりしましょう。
ひとつ注意点があって、
ボトムのフープに空いたスナッピー用の切り欠き穴のサイズに依存するので、幅広の40本スナッピーとかでは出来ません。
PURESOUNDなら20本スナッピーであれば一般的なボトムフープのサイズ内で収まるはず。
驚くほど簡単だけど劇的に音変わります。
クラシック用の小太鼓の、紐状のスナッピーを直接ストレイナーに留めるようなかたちに近いですね。
「大井式」と名付けてます。
大井式が普及しても僕にはなんのマージンも入りませんし、メーカー希望の使用方法とは違うので、お勧めしてくれることは無いでしょうけど、
鍋ヤカンだって叩けば楽器。アバウトなものですから、良きゃなんだっていいのです。
もしこれをご覧になって試すドラマーがいらしたら、是非ご感想など連絡ください。もしくは、「自分の方がとっくに早くやってるぜ、俺式な」でも嬉しい敗北です。HPでもSNSでも歓迎です。
本当は全面当たりが良いけどね、清濁合わせ飲んだ大井式もなかなか良いよ。よろしく!
プロフィール写真これにしよっかな
理佐に撮ってもらったやつ