こんばんは〜
金木犀の酔うような甘い香りがすると、空は高く晴れているのに、なぜか胸がざわついてくるような、どうしようもなく焦ってくるような感じがします。
AdeleのChasing Pavementsを聴くと涙が出てしまいます。宇多田ヒカルのStay Goldでも同じような状態になります。
海を眺めた時に、ああ帰ってきたと心の奥がほっとします。東京暮らしはただの寝泊まりに過ぎない、という感覚がどこか拭いきれないのは、海から離れて生活しているからかもしれません。
チョークや黒板を触ると、鳥肌が立ちます。子供の頃に爪でひっかく遊びをし過ぎたせいで、骨伝導であの不快なハイが指先から全身に回る感覚が蘇ってしまいます。なので、僕にとってホワイトボードは安心を体現したような存在です。
犬や猫、ハムスターなど毛のある哺乳類を撫でる時、愛情が形をもった存在ってこれかと毎回思い知ります。
最近、ふとあれが食べたくなって、気になっていた店に行きました。
これです
フィッシュアンドチップスです。
鱈を衣つけて揚げて、フライドポテト添えただけの、やつ。
塩とモルトビネガーをばしゃばしゃかけて食うあれをやりたくて、店仕舞い間際に駆け込みました。
めちゃくちゃ美味かったです。
僕がはじめてヨーロッパに行ったのは、高校卒業後の大学行ってるか辞めてるかのあの辺りの時期で、
一緒にバンドをやっていたメンバーと3人で、本場に行くぞと
飛行機とホテルだけ予約して旅行に行きました。
まじクソ寒くて、痺れるような冬真っ只中だったけど、僕らはアドレナリン出まくってるから、まいにち一日中ほんとに脚が棒になるまで歩いて、
ロンドンの曇った大気を嗅ぎながら、見つけたものを食べて、触れたものを買ったり買えなかったりしながら、
寒さと心細さと、憧れに裏打ちされた勇気と、言いようのない第六感のざわつきを覚えながら過ごしました。
そんなある日の夜遅く、滞在していたアールズコートのビジネスホテルの近くにあった、フィッシュアンドチップス屋に行きました。
汚いメニューのパネルに写っている写真はどれもコントラストと彩度が強すぎて全然美味しそうに見えないし、当時の僕の英語力じゃネイティブと話すことすらままならないのに、移民がやってるから更に何言ってるかちんぷんかんぷんだし、ほんとよくわかんないことずくめのその店で、なんとか注文して、
ホテルの狭い部屋に持ち帰りました。
油が染みてべこべこになった段ボールみたいな紙箱を開けると、ギッチギチに敷き詰められた大量のフライドポテトの上に、巨大な鱈のフライが乗っかってて、しょぼくれたレモンの切れ端が突っ込んでありました。
普段はあまり飲まないコカコーラも一緒に、UKの普通サイズ(超大盛り)の魚と芋のフライをがっつきました。
それがもう美味くて美味くて。
あの店はまだあるんだろうか
さほど大したことのないものが、
誰かの人生には深く刻まれる